こんにちは、弁護士のうえのです。
3回にわたってお送りする「評価される合格答案を書くコツ」シリーズ。
第1回では、「原則と例外」を意識して、原則論を書くことの大事さを伝えました。
第2回では、「論点主義にみせない答案」を書く方法を伝授しました。
今日は、いよいよ最後の3点目をお伝えします。
NO!パターン処理
3つ目は、パターン処理をしている答案です。
これも、評価されない答案です。
例えば、このような答案です。
今回の制約について、憲法上許されるか。
いかなる審査基準を定立するか問題となる。
表現の自由は、精神的自由の1つであり、自己実現の価値及び自己統治の価値が大きいため、厳格な審査基準によるべきである。
そこで、目的が必要不可欠であり、手段が目的達成のために必要最小限度である場合に、憲法に違反しないものと考える。
本件では〜
憲法の答案ですね。
正しいことを書いていますし、「自己統治の価値」等、憲法上の重要なキーワードを書けていますので、よく勉強されている答案だと思います。
しかし、残念ながら、この答案では高評価をいただくことはできません。
事案に即して書く!
重要なことは、事案に即した答案を書くということです。
司法試験も予備試験も、具体的な事情が設問中に散りばめられています。
その散りばめられた事情を、しっかりと抜き出して、答案に摘示し、評価していくことが大事です。
司法試験終了後の、司法試験委員の採点実感によれば、
表現の自由であることや、精神的自由であることを理由に、直結的に厳格審査基準を唱える解答が目立ったが、設問の個別具体的な事案に即して、自分なりに論じてほしい。
という内容の指摘がなされています。
設問中の事実を多く使う
精神的自由と言っても、
参政権や政治的表現の自由のように、それ自体制限されれば、民主政の過程での回復が困難となるものもあれば、
一方で、
営利的表現の自由や、性的表現の自由など、制限を受けても、民主政の過程での回復が困難とまでは言い難く、またそれ自体、自己統治の価値が低いもの
まで、千差万別あります。
その点を、自分なりに説得的に、答案に記載して書くことで、
「あ、この答案は、設問中の事実を用いて、具体的に論じられているな」という良い印象を与えることができます。
答案を採点してもらう
というわけで、
ぜひ、優秀答案や、合格答案を同じことを書いているはずなのに評価されないという方は、
お伝えした「3つのコツ」を意識して答案を書いてみて下さい!
なお、これらの表現力を独学で身につけるのは、やはり困難をともないます。
私が思うに、合格者に添削をしてもらうというのが、最も有効だと思います。
当塾でも、私は、いち講師として、生徒さんの答案を添削して、少しでも評価される答案を書けるように指導しています。
ぜひ利用してみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!